酒とスワローズの日々

東京ヤクルトスワローズの魅力を間違った視点から伝えるブログ

#11 妄想登場曲解説 その2 大松尚逸

プロ野球選手がホームの球場で登場する際に使用する”出囃子”とも言える登場曲。

「カッコイイから」など単純な理由で選んでいるかもしれないけれど、敢えて筆者の妄想力をフル回転し、そこに秘められた思いやメッセージを無理矢理紐解く”妄想登場曲解説”シリーズ。

2回目は大松尚逸選手です。

 

 

あの日、あの時、あの瞬間。

 今からちょうど1年前の2017年7月26日。

あの日19時ごろ、僕は仕事がなかなか終わらず、チケットを取っていた神宮球場の中日戦に行けずに会社でイライラしていました。

いや、いらいらしていたのは仕事が終わらないからだけではないのです。

ユニフォーム配布デーなのに、このまま行けなかったらもらえない…という焦りと、そしてもう一つは2回、4回と先発のルーキー星投手が3点ずつ、計6失点もしていたことをスマホの一球速報で確認していたからです。

 

半ばやけくそ気味に仕事を切り上げて、とりあえずユニフォームをもらうためだけに神宮に向かう電車に乗りました。しかしその車中、僕のスマホはヤクルトがさらに4点を失ったという情報をご丁寧に教えてくれました。

 

思えば、2017年7月のヤクルトファンは本当に悲惨でした。

チームは故障者が続出し、開幕直後からぶっちぎりの最下位をひた走る。

投手陣が崩壊する中、当時の真中監督と伊藤投手コーチが断腸の思いで下した決断"ストッパー・ライアン小川"という策も、俗にいう「七夕の悲劇」を招いて失敗。

プロ野球の祭典であるオールスターにもその小川一人しか送り出せず、しかも小川は被弾するという始末。

 

絶望に近い状態で迎えた中日戦。前日に相手のミスでサヨナラ勝ちを収め少しだけ心に余裕ができたのも束の間、10点というあまりの大量失点の前に、再び暗澹たる気持ちに支配されていました。

 

「とりあえず、少しだけ見て行くか」

 

どんなに負けていても、神宮球場に来て"中に入らない"という選択肢は無く、いつもの外野自由席へ。すると飛び出した中村のホームラン。

そして…そこからのことは書くまでもないので割愛しますが、後日、とあるニュースを見て僕は涙を流すことになるのです。

 

大松尚逸の親子鷹

大松選手は、前年の2016年にアキレス腱を断裂。壮絶なリハビリをして復帰を目指す中で千葉ロッテを戦力外となり、テスト入団で加入した苦労人です。

 

僕が目にした記事には、そんな大松選手があの劇的なサヨナラホームランを放つ前日に、父親と交わしたメールの内容が書かれていました。

www.sankei.com

大松選手があのホームランを放つ直前、テレビ中継では実況のフジテレビ向坂アナが「代打では1割6分2厘という今シーズンの成績」と言っています。決して褒められる数字ではなく、この日まで17打席凡退と不振にあえいでいました。

 

そんな時に父からのメールによって、大松選手は野球が出来る喜びを思い出します。(内容は上記の記事参照)

中学生の時に母親を病気で亡くした大松選手。二人で努力を続けプロ野球選手になった大松選手にとって父親がどんなにかけがえのない存在かというのは想像に難しくありません。

 

父は言った「思いで深い人生を送れ」と。

そんな大松選手の登場曲がこちらです。


Avicii - The Nights

 

The Nights

The Nights

  • provided courtesy of iTunes

 この曲の一節に、こんな歌詞があります。

He said, one day you'll leave this world behind
So live a life you will remember
My father told me when I was just a child
These are the nights that never die
My father told me
和訳すると、こんな感じ。

父は言った「いつかお前も死ぬ時が来る。だから思い出深い人生を送りなさい。」

まだ子供だった僕にそう言ってくれた。

あの日の夜、父が教えてくれたことを忘れない。

 

僕はこの曲の内容を知っていたけれど、「ふ~ん、aviciiとは意外に若い趣味やな」くらいにしか思っていませんでした。しかし、前述の記事によって大松選手と父親の関係性を知り、しばらく涙が止まりませんでした。

きっと、ものすごく深い思いを込めて、この曲を選んだのでしょう。

 

父親とのやりとりの翌日、皆が祈りを捧げるように見つめる中、この曲が鳴りやんだ直後に初球を叩いた大松選手。

あのホームランの弾道は目に、そして大松尚逸という男の心意気は、僕の心に一生焼き付いて離れることはありません。

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サンキューマッツ

 

 

今年、大松選手は開幕からずっと二軍にいます。

しかし去年とは違い、チームは7月25日終了時点でリーグ2位。

必ず、必ずあなたの力が必要な時が来ます。

僕は、神宮球場でその時を待っています。

 

□ちなみにこの10点差逆転劇はセ・リーグでは大松の背番号と同じ66年ぶりの快挙であり、その時のカードが大洋対松竹で、頭文字が"大松"、さらにお父様の年齢が66歳という奇跡もありました。

 

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